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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

と、主税は仰ぐようにして云った。

「いや、ここで話しょうと云うたのは私じゃで、君の方が病後大儀じゃったろう。しかし、こんな事を、好んで持上げたのはそちらじゃて、五分々々か、のう、はははは、」

と髯の中に、唇が薄く動いて、せせら笑う。

早瀬は軽く微笑みながら、

「まあ、お掛けなさいまし。」

と腰掛けた傍を指で弾いた。

「や、ここで可え。話は直き分る。」と英臣は杖を脇挟んで、葉巻を銜えた。

「早解りは結構です、そこで先日のお返事は?」

「どうかせい、と云うんじゃった、のう。もう一度云うて見い。」

「申しましょうかね。」

「うむ、」

と吸いつけた唾を吐く。

「ここで極て下さいましょうか。過日、病院で掛合いました時のように、久能山で返事しようじゃ困りますよ。ここは久能山なんですから。またと云っちゃ竜爪山へでも行かなきゃならない。そうすりゃ、まるで天狗が寄合いをつけるようです。」

「余計な事を言わんで、簡単に申せ。」

と今の諧謔にやや怒気を含んで、

「私が対手じゃ、立処に解決してやる!」

「第一!」

と言った……主税の声は朗であった。

「貴下の奥さんを離縁なさい。」

隼