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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

祖母さんの命を承けて、妹連から注進櫛の歯を挽くがごとし。で、意見かたがたしかるべき嫁もあらばの気構えで、この度母親が上京したので、妙子が通う女学校を参観したと云うにつけても、意のある処が解せられる。

「どうだい、君、窮屈な思いをしたろう。」

親が参って、さぞ御迷惑、と悪気は無い挨拶も、母様で、威儀で、厳粛で、窮屈な思いを、と云うから、何と豪いか、恐入ったろう、と極めつけるがごとくに聞える。

例の調子と知っているから、主税は別に気にも留めず、勿論、恐入る必要も無いので、

「姑に持とうと云うんじゃなし、ちっとも窮屈な事はありません。」

机の前に鉄拐胡坐で、悠然と煙草を輪に吹く。

「しかし、君、その自から、何だろう。」

とその何だか、火箸で灰を引掻いて、

「僕は窮屈で困る。母様がああだから、自から襟を正すと云ったような工合でね。……

直の妹なんざ、随分脱兎のごとしだけれど、母様の前じゃほとんど処女だね。」

と髯を捻る。

十四

「で、何かね、母様は、」

と主税は笑いながら、わざと同一ように母様と云って、煙管を敲き、

「しばらく御滞在なんですかい。」

「一月ぐらい居るかも知れない、ああ、」