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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

と冷かに笑うと、河野は人物に肖ず、これには傲然として、信ずる処あるごとく、合点んだ笑い方をして、

「でも、条件さえ通過すれば、僕は娶うよ。ははは、きっと貰うね、おい、一本貰って行くぜ。」

と脱兎のごとく、かねて計っていたように、この時ひょいと立つと、肩を斜めに、衣兜に片手を突込んだまま、急々と床の間に立向うて、早や手が掛った、花の矢車。

片膝立てて、颯と色をかえて、

「不可いよ。」

「なぜかい?」

と済まして見返る。主税は、ややあせった気味で、

「なぜと云って、」

「はははは、そこが、肝心な処だ、と母様が云ったんだ。」

と突立ったまま、ニヤリとして、

「早瀬、君がどうかしているんじゃないか、ええ、おい、妙子を。」

二十一

冷か、熱か、匕首、寸鉄にして、英吉のその舌の根を留めようと急ったが、咄嗟に針を吐くあたわずして、主税は黙って拳を握る。

英吉は、ここぞ、と土俵に仕切った形で、片手に花の茎を引掴み、片手で髯を捻りながら、目をぎろぎろと……ただ冴えない光で、

「だろう、君、筒井筒振分髪と云うんだろう。それならそう云いたまえ、僕の方にもまた手加減があるんだ、どうだね。