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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页
「しかし仲人って奴はうっかりやるものじゃありませんよ」
と附け足した。
「…………」
「長船君と春子さんのようにうまく行けばこの上なしですが、罷り間違うと、一生恨まれます」
「…………」
「会社の堺さんを御存知でしょう?」
「はあ」
「あの人が先年矢張り会社の堀川さんの娘さんを或るところへお世話しました。無論好い積りでしたが、人間てものは興信所の調査ぐらいじゃ分りません。詳しいことは聞きませんが、余っ程悪い奴らしいです。可哀そうに、この春離婚になって戻って来ました」
「はゝあ」
「以来堺君と堀川君は何うも折り合いが悪いです」
「成程」
「堺君はもう懲りたって言っていますよ。いや、仲人口なんてものはうっかりきくものじゃありません」
「御道理です」
と俊一君は相槌を打つ外仕方がなかった。
斎藤さんは能く話す。それからそれと弁じるものだから、俊一君は用件を切り出す機会がなかった。斎藤さんはそれを傾聴と解して益※(二の字点、1-2-22)調子に乗った。
「何もございませんが、お支度が出来ましたから」
と奥さんが夕食を運んで来た。
「これは/\」
と俊一君は尠からず狼狽した。屈託の余り、時分時に推参したことを全く忘れていたのだった。