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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「斯う長引くと折角の機会を逸してしまいますわ」

とお母さんは良縁と思い込んでいる。

「あの老人は渋沢に会ったの浅野が何と言ったのと、何うも話が大き過ぎる」

「それは縁談に関係ございませんわ」

「いや。俺はあゝいうのは嫌いだ」

「仲人の好き嫌いでお定めになっちゃ困りますよ」

「俺丈けの考えなら、もう初めから定っている。お前が進んでいるから打ち切らないのさ。仲人の言うことばかり聴いていないで、一つ念晴らしの為めに俺が直接調べて見よう」

と山下さんは手っ取り早く片付ける積りだった。

仲人の奥さんも度々訪ねて来て、山下夫人とかなり親しくなった。或晩のこと、夫人は、

「あなた、今日は藤田さんの奥さんから面白いお話を承わりましたよ」

と思い出した。

「又来たのかい?」

「はあ、この間傘を貸して上げたものですから」

「あれは藤田さんに負けない。能く喋る女だよ」

「奥さんの方がお若過ぎると思っていましたが、その次第が今日分りましたの」

「後妻だろう。無論」

「それまでは仰有いませんでしたが、兎に角二十四違うんですって」

「ふうむ」

「藤田さんも寅で、奥さんも寅ですって。仲人に寅だと聞かされて、寅なら十二違いだと思って貰われて来て見ましたら、二十四違っていたんですって。