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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页
「露骨に言えば馬鹿正直です。折角出来た答案の後へ『以上の如くノートにて読みたるやに思う』なぞと書き足しますから、教授の方で判断に苦しみます」
「少し何うかしているんじゃないでしょうか?」
「いや、謹直ですから、然う思ったら然う断らないと気が済まないんです。しかし世渡りには損な性分です。就職の面会に行っても、この調子ですから、採用されっこありません。僕はもう駈引の要らない方面へ向うと言って文科をやり直しましたが、確か心理学でしたろう?」
「然うです」
「要するに堅人のコチ/\です。石橋を叩いて渡ると言いますが、長船君は叩いて見て、この石橋は堅きやに思うと言う丈けです。ナカ/\渡りません」
「成績は兎に角、頭そのものは何うでしょうか?」
「答案を半分しか書きませんから、奥底が分りませんが、無論普通以上ですよ」
「有難うございました」
「お婿さんとしてはこの上ない安全な人です。何分堅いですからな」
と人格丈けは何処までも請合のようだった。
俊一君は家へ帰って逐一報告した後、
「何うも要領を得ない人物です。堅いことは保証つきですが、余程豪いのか余程愚図でしょう」
と疑問を残した。