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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「…………」

「春子さん、私達にお委せ下さいませな。決してお悪いようには計らいませんから」

と、斎藤夫人は沈黙を受諾と解した。

「兎に角、御挨拶を申上げて帰りましょう」

と山下夫人も退っ引きならない。

「さあ、奥さんも春子さんも何うぞ此方へ」

と斎藤さんが請じた。下見が見合になった。春子さんは俯向いていた。長船君は角張っていた。

帰り途に春子さんは、

「私、もう斎藤さんの御夫婦を信用致しませんよ」

と憤慨した。

「何故?」

「初めから二人共謀になっていて見合にしたんですわ」

「そんなことはないでしょう?」

「いゝえ、然うよ。失礼ですわ、本当に」

「でも宜いじゃありませんか? 何うせ見合をすることに定っていたんですから」

「見合なら見合で、私、お支度がありましたわ。こんな普段着で見合をするものはございませんよ」

「先方も背広だったじゃありませんか? お互っこよ」

とお母さんは賺めた。

春子さんは長船君が気に入ったようでもあり、気に入らないようでもあった。

「何うだったね? 如何にも堅苦しい感じのする男だったろう?」

というお父さんの批評に対しては、

「然うでもございませんでしたわ。