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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

「婦人倶楽部」1929(昭和4)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,654 字 · 175 页

青空文庫

「私、キマリが悪うございましたわ」

「それは仕方がないさ」

「ウカ/\しちゃいられませんわ」

「え? 一足飛びだね。些っと話の筋が違うようじゃないかい?」

「あなたはそれだから駄目でございますよ」

と夫人は有らゆる出来事を縁談に結びつけて、無暗に呉れ急ぐ。

安子さんは姉さんの春子さん同様、高等女学校の本科を卒業した上に専修科を出ている。芳子さんも後一学期で姉さん達と同じ学歴になる。親の真剣な心持にも拘らず、この頃の娘さん達は呑気だ。早く嫁ぎたがらない。それでも一年に三人や四人、姉妹の同級生が夫れ/″\片付いて行く。

「木島さんがお定りになったそうよ」

と安子さんはそれがお母さんの知った人の場合、話の中に出す。

「まあ/\、それはお芽出度うございましたね」

とお母さんは祝った後が甚だ平かでない。

「安子や、お前もウカ/\しちゃいられませんよ」

と必ず来る。

「でも片付いた方は極く少いのよ」

「何人ぐらい?」

「さあ、未だ十人ぐらいのものでしょう」

と安子さんは成るべく内輪に報告することを覚えた。

「本当?」

「御交際のない方は存じませんけれど」

「案外落ちついていますのね」