轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こをつれて
子をつれて
葛西 善蔵
「早稲田文学」1918(大正7)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,970 字 · 34 页
横井はその時分医学専門の入学準備をしていたのだが、その時分下宿へ怪しげな女なぞ引張り込んだりしていたが、それから間もなく警察へ入ったのらしかった。
横井はやはり警官振った口調で、彼の現在の職業とか収入とかいろ/\なことを訊いた。
「君はやはり巡査かい?」
彼はそうした自分のことを細かく訊かれるのを避けるつもりで、先刻から気にしていたことを口に出した。
「馬鹿云え……」横井は斯う云って、つくばったまゝ腰へ手を廻して剣の柄を引寄せて見せ、
「見給え、巡査のとは違うじゃないか。帽子の徽章にしたって僕等のは金モールになってるからね……ハヽ、この剣を見よ! と云いたい処さ」横井は斯う云って、再び得意そうに広い肩をゆすぶって笑った。
「そうか、警部か。それはえらいね。僕はまたね、巡査としては少し変なようでもあるし、何かと思ったよ」
「白服だからね、一寸わからないさ」
二人は斯んなことを話し合いながら、しばらく肩を並べてぶら/\歩いた。で彼は「此際いい味方が出来たものだ」斯う心の中に思いながら、彼が目下家を追い立てられているということ、今晩中に引越さないと三百が乱暴なことをするだろうが、どうかならぬものだろうかと云うようなことを、相手の同情をひくような調子で話した。