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こどものじぶんのはなし

子供の時分の話

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,307 字 · 11 页

青空文庫

私は、目をふさがれて、女の肩につかまり、その脊におぶさりますと、女はすぐにそこから音のしないように歩き出して、きたときの峠を下りました。

やがて女は二、三丁もくると、息をせいて、私を下ろして休みました。けれど、まだ私の目から手ぬぐいをはずしませんでした。

「わたしは、みんなに知れるとひどいめにあいますから、ここから帰りますよ。坊ちゃんは、いまあっちからくる馬方に頼んであげます。」と、女はいって、ガラガラと馬に車を引かせてきた馬方に、なにやら小声で女はいっていました。

「また、達者だったら坊ちゃんにあいますよ。けれど、だれかがとってくれるまで、独りで手ぬぐいをとってはいけませんよ。」と、女はいいました。私は、黙ってうなずきました。そしてなんとなく、このやさしい女に別れるのが悲しゅうございました。

私は車の上に乗せられて、長い間、知らぬ街道をガラガラと引かれていったのであります。どんなところを通ったか、どんな景色であったか、目を隠されているので、すこしもわからなかったのです。そして、あるところにきたときに、

「ここだ。」といって、馬方は車を止め、

「さあ下りた。