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しきとわか
子規と和歌
伊藤 左千夫
「中央公論 第二十二卷第九號」1907(明治40)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,757 字 · 8 页
正岡君については、僕などあまりに親しかッたものですから、かえって簡単にちょっと批評するということ難かしいのです、そりゃ彼の人の偉いところやまた欠点も認めて居ないこともないのですが、どうも第三者の位置にあるよう、冷静な評論は出来ませんよ。
僕も初めから正岡君とは手を握って居た訳ではないのです、むしろ反対の側にあったもので時には歌論などもやったものです、それが漸々とその議論を聴き、技倆を認め、ついに崇敬することとなりこちらから降服したという姿です、それであるから始めから友人交際であった人達よりはその偉らさを感じたことが強かったようです、従て崇敬の度が普通以上でしたろう、であるから僕の子規論などは往々人の意表に出でて、世間からは故人に佞しもしくは故人を舁いだものかのように受取られたことが多いのです。しかしながら棺を蓋うて名すなわち定まるで、いわゆる明治文壇における子規子の価値は、吾々の云々をまって知るを要せぬことになりました。
今日新派といわるる人々と正岡君の和歌との関係ですか、僕の考えでは与謝野一派、竹柏園の一流、その他尾上、金子などの一流とすなわち今日のいわゆる新派とはほとんど関係がないと思います、第一趣味の根底が違ってますからね。