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そんごくうのくも

孫悟空の雲

宮本 百合子

『近代文学』十月号平野謙氏の評論について

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,568 字 · 9 页

青空文庫

それは作家の資格においてこそわたしたちが理解していなければならない当面の仕事だと思っている。したがってわたしだけが特権をもっている者らしく云う平野氏の前提は根拠がない。よりどころのない前提の上に、手のこんだ話が展開されても、それは生活の真実でもないし、文学の現実であるとも云えない。

共産党は、対外的なジェスチュアとしてだけ文化綱領をかかげ、文化政策を云々しているのだろうか。わたしはそうではないと考えている。こんにち、真実をもって努力しているすべての人々の文化的業蹟、仕事ぶり(それは党員である文化関係の人々だけに限られていない)そのものを援助し、新たな展開、精神の成長の可能をこの社会の現実の中にうちひらいてゆくのが、党としての責任だろうと解釈している。そのような文化上の責任に対して、直接党にむすばれている学者・芸術家はまず自分たちの生きかたと仕事のやりかたそのもので、よりひろい一般的な可能が開かれ、その具体的で妥当な前進の方法が普遍化されるために骨を折らなければならないのだと思う。

平野氏は、この数年来、民主主義文学を語るとき、小林多喜二を語るとき、党について語るとき、一種の圧迫的なコンプレックスから身をほごしかねている。