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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

「こいつはたいへんだぞ」

何十分間、歩き続けたか、僕は憶えていない。とうとう腰が痛くなって、椅子にどっかと腰を下ろしたとき、僕はようやく頗る恵まれたる自分の使命に目が覚めた想いがした。

「そうだ。この艇内に十五ヶ年起き伏しすることは、そう悪くないことだぞ」

僕はそれ以来、人が変ったように朗かな気持で生活することが出来るようになった。そのときは、その足で、記者倶楽部へ出かけていったものである。

倶楽部は、僕の外の全員が集って、盛んに大きな声で喋っていた。喋るというよりは、喚き合っているといった方が適当であろう。

「……火星人の外の生物なんて、絶対に考えることが出来ない。艇長にもう一度警告しないでは居られぬ。警告することは、僕らの権利だからねえ」

ベラン氏が、両手を頭の上までさし上げ、真赤になって喚いている。その相手だと見えて、氏の前にいたフランケ青年が、端正な顔をあげていった。

「警告なさるのは自由だが、しかし艇長の信念を曲げさせることは出来ませんよ」

「何でもいい。僕は警告するといったら、警告するのだ。それで聴かれなければ、僕たちはこの旅行から脱退する」