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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
「大丈夫ですよ、そんなこと……」
僕はそういわざるを得なかった。「非常な超冒険旅行」に出るということだけではどんなことをするのか分らないのに、そのことさえも厳秘だというのである。リーマン博士のそのときの硬ばった顔付、額にねっとりと滲み出たその汗から見て、博士はたいへんな責任を背負っていることが分った。
それにしても、まことに唐突の出発である。いくら僕みたいな人間でも、このベルリンにあと十数時間しかいられないのだとわかると、周章てざるを得ない。
僕は町へ出て、生活必需品の買い集めに狂奔する決心になったが、いよいよそこで歯刷子はじめ二三の品物を買うと、もうあとを買いに歩くのがいやになった。品物の方は早速もう諦め、あとはポケットをふくらませている紙幣束をいかにして今夜のうちに費い果たすかについて頭をひねることとなった。
「そうだ、同業の魚戸氏に挨拶していってやろう」
魚戸氏は、僕と同じく報道員である。だが彼と僕とは、所属の会社を異にしているので、はっきりいえば競争者であり、もっとはっきりいうと敵手である。僕はまだ二十五歳だが、彼は僕より十四五歳も上の先輩だ。