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あんごしたん

安吾史譚

坂口 安吾

05 勝夢酔

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,002 字 · 27 页

青空文庫

「良くつもッてみろ。どこの馬の骨だか分らない南平にできることだから、あれと同じことを旗本のオレが一心不乱にやれば神が乗りうつらぬ筈はない。南平の言葉もきかずに、オヌシが出すぎたことを云うな」

「それはあなた様が御無理だ。神様の法というものは旗本だからどうという物ではありますまい」

「よろしい。論は無益だから、オヌシもここへでてこい」

と夢酔は部屋のマンナカへ出て、

「オヌシはオレの前へでてタタミに額をつけて礼をしてみろ。オレが許すと云わぬうちにオヌシの額がタタミから上ることができたらオレはオヌシの飯タキになろう」

その見幕が大変だから人々が間へはいって取りなした。仕立屋の件はそれでおさまったが、

「お前がそれほど出来ると思うなら、ただちに寄加持をやってみろ」

と大勢の者が云う。

「よろしい。やってみせるから、見ていろ」

夢酔はまず裸になって水を浴びてきた。それからミコをよんで、南平がした通りの仕方で祈ったら、ミコがいろいろのことを口走りはじめた。

「どんなものだ。ザマア見ろ」

と夢酔は散々高慢を云って帰った。

大勢の者はこれに驚いて、それ以来、南平にたのむと金がかかるから、夢酔にたのんで加持をしてもらうようになった。