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あんごしたん

安吾史譚

坂口 安吾

05 勝夢酔

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,002 字 · 27 页

青空文庫

さて一同を着座せしめて、

「長らく滞在にも拘らず下知の趣きききいれざる段は不届きである。金談は断るから、左様心得ろ」

「ハイ。ありがたくお受けいたします」

「しかしながら鐘をうちならし竹槍とって押寄せた段上を恐れざるフルマイ、大阪奉行に命じてきッと詮議致すから左様心得ろ」

こう云うと百姓どもは涙を流して詑びを述べるから、これも聞き許してやる。

「しからば最後に申しきかせてつかわすことがある。その方らがこれまでに地頭の用立て金があまたあって迷惑の段はその理なきにしもあらんが、地頭家の家名に及ぶという際にこれを見捨てるとは思いがけざる仕儀である。オレの顔で千両二千両用立てるのはワケはないが、知行所の用立金で急場を救ってもらいたいという岡野の頼みによって、オレが引受けて用立金を下命に参った。約束して参った用向がかなわぬから、オレはここで切腹いたす。勇八らは帰国致して妻子へこの一条を話し、これをカタミに致すように」

と上に着ていた平服をぬいで手渡す。下から白ムク姿が現れた。するとお供の者がかねて江戸を出発する時から用意してきた首桶を静々と持って現れる。夢酔が差料をとって、