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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
安重根 今もここにいた客がその話をしていたが、(考えて)夜か――。
禹徳淳 二十三日に寛城子を出発するそうだ。ハルビンのほうは、情報を集めるように曹道先に電報を打っておいた。遼東報にも大東共報にもかなり詳しく報道されているが、まちまちでねえ。李剛さんに会ったか。
安重根 まださ。いま着いたばかりだよ。君と打ち合わしておいたとおりに、すぐここへやって来たんだが――しかし、なあ徳淳、おれは考えたよ。じつは、すこし考えたことがあるんだ。
禹徳淳 夜着くというのが心配なんだろう。それはおれも、全然考えないじゃない。まったく、夜はいっそう警戒が厳重だろうから――だが、それだけまたこっちにしてみれば、昼よりは紛れ込むに都合がいいわけだからねえ。
安重根 そんなことじゃあないんだ。会って話さなけりゃわからないことだから、手紙には書かなかったが、(笑って)会って話したところで、君は人の細かい気持ちなど解る人間じゃあなかったね。
禹徳淳 (熱心に)君は何を考えているか知らないが、君がウラジオへ出て来ると決ってから、同志の熱狂ぶりは大変なものだ。まるで救世主の再臨を待つように騒いでいる。