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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
階段の上にクラシノフが現れて下を覗く。
クラシノフ どうしたい。だいぶ大きな声がしてたようだが、床屋のやつ、もう帰ったのか。
降りて来る。
白基竜 何かの都合で一日延びたんじゃないでしょうか。
朴鳳錫 なあに、こっちにはすっかりわかっているんだ。君のいないあいだに、今の床屋の口から大変なことが露れたのだ。
白基竜 安さんのことでか? 何だ。どんなことだ。
李剛 (決定的に)朴君、私はあの張首明という人間が気になってならない。君、すぐ出かけて行って、あいつの家を見張ってみたらどうだろう、出て来たら、無論、後を尾けるのだ。
李春華 (階段を上りながら)いま熱いお粥ができましたから、皆さんでちょっとすましてから――。
李剛 (激しく)いかん、いかん! 急ぐんだ。それから白基竜君、君は停車場の待合室へ行って、腰掛けにごろ寝している連中のなかに安重根がいないか見て来てくれたまえ。
白基竜 僕にはさっぱり解らないが、安さんがどうかしたんですか。いったい何があったんです。
朴鳳錫が促して、二人は急いで出ていく。
李春華 では、あとの人だけで御飯にしましょうか。
李剛 (いらいらして)いや。