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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
こうなったら、同志を相手にあくまでも戦うだけです。戦って、この束縛から※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)き出るんです。
李剛 (笑いながら)いったい君はどうしようというのだ。
安重根 同志が聞いて呆れる。あいつらはただ、私を追い詰めて騒いでいれば幸福なんです――。
李剛 君、飯はまだだと言ったね? (手の紙幣束を突き出して)これで何かそこらでやってくれたまえ。僕もつきあえるといいんだが、社にちょっと用があるから、失敬する。(歩きかける)
安重根 (機械的に受取って)御免です! 同志なんかというおめでたい集団力に動かされて――嫌なこってす。誰が他人のお先棒になるもんか! 僕はそんなお人好しじゃあないんだ。
と手の札束に気がついて愕く。
安重根 (追いかけて)先生、これ、どうしたんです。こんなにたくさん――。
李剛 飯を食って、余ったら旅費のたしにするさ。
安重根 (警戒的に)旅費――?
李剛 (声を潜めて)安君、金は充分か。
安重根 (ぎょっとして飛び退く)金?――何の金です。
李剛 (迫るように寄る)君はさっき、今夜一晩黄成鎬のところへ泊って、明日発つと言ったね。