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あんじゅうこん

安重根

谷 譲次

――十四の場面――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页

青空文庫

僕も君も、露語と来るとまるきり駄目だからなあ。そこへ、ロシア人よりも露語の達者な劉君が一緒に行ってくれると言うんだから、まったく心強いよ。

安重根 いや、おれは劉君のことは以前から聞いていた。いつかウラジオの李剛先生が雑談的に話したことがある。ポグラニチナヤに劉東夏という、若いがロシア語の上手な人がいる。露領の奥へ出かけるようなことがあったら、その人を通訳に頼みたまえ――僕はそれを思い出して、ぜひ劉君に会って頼むつもりでいたんだ。このポグラニチナヤに途中下車したのも、劉君に同行してもらうためだったのさ。

禹徳淳 (劉東夏へ)ハルビンの用は大したことじゃあないんだ。では、これからすぐ薬を買いにハルビンへ行くと言って、ぜひお父さんの許可を得るんだな。僕と安君は一足先に停車場へ行って待っている。

劉東夏は家に入る。

安重根と禹徳淳は急ぎ下手へ歩き出す。

禹徳淳 あいつのロシア語は手に入ったものだ。それにかなり党の仕事にも熱心だし、情報を集めたりなんか、連絡係りには持って来いだが、君はどの程度まで打ち明けるつもりでいるんだい。

安重根 何と言ってもまだ少年だからねえ。