轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页

青空文庫

しかしながら、姫柚子の一滴は、爛然として鍋のなかに佳饌の趣を呼び、時しも窓外の細雨に、二人は秋声の調べを心に聞いた。鼎中の羮に沸く魚菜の漿、姫柚子の酸。われらの肉膚は、ひとりでに肥るのではないであろうか。

さらに膳を賑わせたのが、茄子の丸焼きであった。これは友が庭前の叢に培った秋茄子である。焦げた皮を去って、丸呑みに一噛み噛み込めば、口中に甘滋が漂う。次に、唐黍の掻き揚げが盆にでた。これは、珍味である。唐黍の果粒が含む濃淡な滋汁が、油と融け合い清涼の味、溢れるばかりであった。季節の天産を、わが手に割烹するほど快きはないのである。友の家庭に潜むこの情味を、羨ましく思う。

さて私は、ほんとうは鮎を求めて、小国川へ釣りの旅を志したのであった。しかし、この山国の渓流はもう水が冷えきって、鮎は落ち鮎となり下流に下って、瀬見温泉あたりに姿をとどめなかったのである。とはいえ、それを私は残念とは思わなかった。それは、落ち鮎は味の季節ではないからである。

人により子持ち鮎を至味というが、私はそれに賛成しない。鮎は土用があけて秋立つころになると、片子を持ちはじめる。