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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页

青空文庫

妹の方は、朝も麺包、お弁当も麺包にしたいというのだ。朝の麺包のときは紅茶に角砂糖をいれてください。お弁当には、三盆砂糖だけでいいわ、などという。

そこで驚いたのは家内である。饂飩も麺包も一週間に一度、せめて二度位であったなら、なんとか家計の繰りまわしもやれますが毎日では堪りません。麺包が一斤二十五銭、うどんかけが二杯で二十銭。それに砂糖、紅茶、バターなどと贅沢をいえば一日に六、七十銭はかかるでしょう。

その上に、御飯も食べるのですよ。つまり、麺包とうどんはおまけみたいに、なってしまいます。これでは、とてもお勝手の方がやりきれないのですが、何とかあれをやめさせる工夫はございませんか。という始末で、家内には大事件となった。

なるほど、そうだのう。

そこで、私はうどんと麺包をやめさせる工夫を考えてみた。しかし、子供に家計の実体を知らすのも何だからと思って、お前たちよ、うどんも麺包も小麦粉からこしらえるのは知っているだろう。だが、いま日本にあり余るほどの小麦粉はないのだ。私が百姓している時分は、小麦は一石八、九円から十一、二円であったのが、今では二十三、四円もしている。