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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

佐藤垢石『完本 たぬき汁』。同一底本的分册已合并为一书。收入:たぬき汁、『七面鳥』と『忘れ褌』、海豚と河豚、うむどん、縁談、議会見物、採峰徘菌愚、酒渇記、酒徒漂泊、すっぽん、増上寺物語、淡紫裳、探巣遅日、盗難、濁酒を恋う、にらみ鯛 、春宵因縁談、姫柚子の讃、美音会、みやこ鳥。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 页

青空文庫

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以上のような物の価であるが、当時一分に対して銭が一貫二百六十文、また文金一歩に対して銭が七百五十二文であった。

そのころ私らが生まれていれば、一升八十文の上酒を茶碗に酌んで、片身二百二十四文の大鮪を眺めることができたろうに――。

ついで明治五年以前には、半紙が十二文から、十四文、十六文、二十文と騰貴し、酒は一升百二十四文から百三十二文、さらに百四十八文から百六十四文、二百文に急騰した。これは明治五年に、南鐐四文銭が世に出て相場が賤くなり、諸色が貴くなった関係であるという。

文化文政ごろの酒については、『五月雨草紙』に和泉町四方の滝水一升二百文なり。鎌倉河岸豊島屋の剣菱同二百八十文なり。予が先考は、酒を嗜みたれど剣菱を用いて、その薄色辛口というを常の飲料とせり。その次は二百五十文、二百文、下に至りて百五十文まであり。されば、一樽の価最上の品一両二分。それより一両一分、また三分二朱位までもあり。その頃の酒品の宜しと思えるは、先考は物を煮るにいたく美淋酒を厭われ、常に剣菱を鍋の中に入れ沸かし、火をその中へ投ずれば忽ち燃ゆ。両三次にしてその味を生ずる故、魚をいれて煮たり。