轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
「文学界」1940(昭和15)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,505 字 · 62 页
誰も気付かないがそのときは皮膚の下に熱い愛情のようなものさえ血管に漲らしているのである。だがこの老人の人に対する愛情は、人と同じ水準に立っては注ぐことは出来ないので、無理に高く自分を持ち上げて、その位置から獰猛に流しかけるのである。気の毒な超人の愛。だが、そうかと思えば、老人はまた自分が凡俗と違いのある距離を自分に意識さすためむやみに人をこき下すように云う事もある。こういう時の老人は懸命で残忍だ。慧鶴はこの老人を見た最初から尊敬は出来なかったが決して憎めなかった。詩文の造詣と才は、全く天下一品だったので、その方の世話にだけあずかる積りで止宿を乞うていたのであるが、もはや自分の目的が変った以上寺を出て仕舞ってもよかった。しかし、朋輩も出て行き自分も居なくなったあと寺に残る老人一人を想像すると、背中が寒い気がした。饑人から最後の食を奪って行く気がした。自分一人だけでも老人の叱られ相手に残っていてもやらなければなるまい=そして慧鶴は一人で破れ寺を切り廻した。その気持ちが馬翁にも通じたものか、ある日慧鶴が雨がぽつぽつ降り出した井戸端で屑大根を洗っていると大垣へ遊びに行って帰って来た馬翁がしばらく傍に立って眺めていたが慧鶴の背中を叩いて云った「立つ鳥は勇むのう」