轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きゃくぎらい
客ぎらい
谷崎 潤一郎
「文学の世界」1948(昭和23)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,162 字 · 14 页
尤もこう云うと、さも勉強家のように聞え、寸陰を惜しんで始終仕事に熱中しているように聞えるかも知れないが、実際はそれの反対で、若い時から人並外れた遅筆家であった私は、老来種々なる生理的障害―――たとえば肩が凝るとか、眼が疲れるとか、神経痛で腕が痛むとか云ったような、―――が加わるに及んで、いよ/\その習性がひどくなり、原稿用紙一枚書くのにも、間で庭を散歩するとか座敷を歩き廻るとか云う合の手を入れなければ、根気が続かない有様なので、仕事中と云っても正味執筆している時間は割合に少く、ぼんやり休養している時間の方が遙かに多い。つまり、一日のうちで諸条件の備わった、順潮にすら/\筆が動いている時間はほんの僅かしかないのであるから、それだけになお邪魔が這入ると被害が大きいことになる。ほんの五分か三分でよいからお目に懸りたい、などと云って来る人があるが、その三分か五分のために折角の感興が中断されると、再び書斎に戻って行っても直ぐには油が乗って来ないので、三十分や四十分は忽ち空に消えてしまい、どうかすればそれきり書けないでしまうことがあるから、邪魔される分には時間の長い短いは大して関係がないのである。