轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さむさ

寒さ

芥川 竜之介

物理老师一本正经地说“女人是物体”,还用热传导定律解释恋爱!这荒唐的理论,居然让保吉陷入了沉思……理工男的爱情观,你能接受吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,972 字 · 8 页

青空文庫

保吉はそれにも苛立たしさを感じた。就中海軍の将校たちの大声に何か話しているのは肉体的に不快だった。彼は二本目の「朝日」に火をつけ、プラットフォオムの先へ歩いて行った。そこは線路の二三町先にあの踏切りの見える場所だった。踏切りの両側の人だかりもあらかた今は散じたらしかった。ただ、シグナルの柱の下には鉄道工夫の焚火が一点、黄いろい炎を動かしていた。

保吉はその遠い焚火に何か同情に似たものを感じた。が、踏切りの見えることはやはり不安には違いなかった。彼はそちらに背中を向けると、もう一度人ごみの中へ帰り出した。しかしまだ十歩と歩かないうちに、ふと赤革の手袋を一つ落していることを発見した。手袋は巻煙草に火をつける時、右の手ばかり脱いだのを持って歩いていたのだった。彼は後ろをふり返った。すると手袋はプラットフォオムの先に、手のひらを上に転がっていた。それはちょうど無言のまま、彼を呼びとめているようだった。

保吉は霜曇りの空の下に、たった一つ取り残された赤革の手袋の心を感じた。同時に薄ら寒い世界の中にも、いつか温い日の光のほそぼそとさして来ることを感じた。

(大正十三年四月)