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しょうらいのにほん
将来の日本
徳富 蘇峰
04 将来の日本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,399 字 · 240 页
これを要するにわが邦は自然の結合によりて自然の国体をなしたるものなり。ゆえにこれを治むるの方略とて別に存せざるなり。ただただ自然の傾向によりてすなわち水の下流に就くがごとくしてこれを治むべきなり。
しかりといえどもわが邦はひとりかくのごとく自然の境遇に入り、自然の運動をなすにおいていまだ一の妨害物を発見せざるのみにとどまらず、さらに一歩を転じて考うるときには非常に便益なる事情あるを見るべし。乞う試みにこれを説かん。
〔第一〕気候。かの造物主は、わが日本人民を配置するにもっとも便宜なる中帯の地を与えたり。ゆえにわが日本人民は、氷山雪屋のうちに住するエスキモーのごとく鯨油を飲み、海豹の肉を食い、寒気と戦わんがためにこの世に生活するものにあらず。また、かのアラビア人のごとく熱天爍地、一木一草もその自由豊美なる生長をなすあたわず、駝鳥の伴侶となり、駱駝の主人となり、沙漠より出でて沙漠に入るにもあらず。また草木禽獣得意の世界ともいうべきアマゾン河流地方のごとく、いかに斧をふるうも森々たる高草大木は人を圧して侵し、猛獣毒蛇は人に迫り来たるの地に生活せざるべからざるの命運を有するものにあらず。