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しょうらいのにほん
将来の日本
徳富 蘇峰
04 将来の日本
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,399 字 · 240 页
図南の鵬翼いずれのときにか奮わん。久しく待つ扶揺万里の風」の詩を賦しその行を送りたる支倉常長の一行のごときは一六一四年〔慶長十九年〕に太平洋を一直線に航海し、メキシコに至り、スペインに着し、ついにローマに達したり。もし太平洋航海の第一先登者をもってマゼラン〔一五二〇年〕となさばその第二の先登者はすなわちわが支倉常長とせざるべからず。ああわが邦人は千古の豪傑マゼラン以後の一人といわざるべからざるの豪勇無双なる航海をなせり。ひとりこれにとどまらず。シナ海・インド洋の沿岸、西海の群島諸方においてはわが賈舶の時々往来するのみならず、わが行険者流はあるいは植民をなし、あるいはその地方の重なる権者となりたることは吾人が喋々をまたずして識者の知るところならん。しかしてかくのごとくわが邦において航海通商の道進歩したるのときにおいてすでに貿易の真理・真主義なるものはその微光を放ちたるがごときを見るなり。慶長年間わが賈舶の安南に赴くや、当時の碩儒すなわち徳川時代文学の開山たる藤原粛はその舟中の規約を作り与えて曰く、
およそ回易のことは、有無を通じてもって人己れに利するなり。