轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちいさなできごと

小さな出来事

寺田 寅彦

「中央公論」1920(大正9)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,533 字 · 29 页

青空文庫

出品画を書いているうちは、ひどく人の見るのを厭がって、みんな方々の部屋の隅へ頭をつっこんで描いていた。時々兄さん達が無理に覗きに来ていけないという訴えが小さい子等から母や祖母の前に提出されているようであった。画家の中には未成品を人に見られる事を厭がる人がずいぶん多いようであるが、これには無論種々な複雑な実際的の理由もあるに相違ない、しかしその外にやはり子供の時から既に有っている一種の妙な心理作用も手伝っている場合がありそうに思われた。

五人の描く絵が五人ながら、それぞれの小さな個性を主張しているのがかなり目立って見えた。のみならず銘々にもう既にきまった一種の型のようなものが芽を出しかけているのであった。何と云ってもいちばん多くの独創的な点をもっているのはいちばん小さい冬子の自由画であったが、その面白い点が一度認められ賞められるとそれがもう十八番になって、例えば富士山が出だすとそれがいかなる絵にでも必ず現われるのであった。今度は趣向を変えて驚かしてやろうというような気はさすがにまだ無かった。

そのうちにまた「みそさざい」文章号というのが発行された。