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しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

正岡容『小説 圓朝』。同一底本的分册已合并为一书。收入:小説 円朝、我が円朝研究、小説 円朝 あとがき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 页

青空文庫

しかしこの後もあることだ。あまり俺の前と後と、手の裏返したようなことだけはいってくれるなよ。おい圓朝おい、分ったか」

一段と声を険しく高くしてきて、

「おい、分ったかったら」

「わ、分りました、あいすみません」

低い低い声でいった。そうしてさらに頭を下げた。下げたその頭が慄えていた、あまりのことの口惜しさに。

「分ったら書け、今夜の詫状を。ええ、俺宛てにじゃねえ圓太宛てに、だ。それ圓太、そこの硯箱と紙と持ってきてやれ」

さも快そうに師匠はいった。

有無なくその場で圓朝は、先方のいう通りの文句で詫状を認めさせられた。どれほどそれを書く手のまた、憤ろしく慄えて止まなかったことだろう。

「サ、書いたらそれでいい。お前の生っ白い面なんか見ていたくもねえんだ。帰れ帰れ早く」

次のお銚子をニッコリ圓太に命じながら、その笑顔をすぐまた百眼のよう、不機嫌千万なものに圓朝のほうへ戻して、

「オイ、おしめえにもうひと言だけいって聞かせておいてやる。お前、このごろ我流で新しい噺をこさえて大そうな評判だな。結構なこッた。豪儀なこッた。だがな、圓朝」

近々と憎さげに大きな鼻を寄せてきて、