轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょうせつ えんちょう

小説 圓朝

正岡 容

正岡容『小説 圓朝』。同一底本的分册已合并为一书。收入:小説 円朝、我が円朝研究、小説 円朝 あとがき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 页

青空文庫

仕方がねえもうこりゃ、どうにもこうにも……。

いいながらもまだ涙をいっぱい溜めた目で、力なく手の中の狐の耳を抱きしめていたが、

「堪忍しとくんなさい親方、お神さん……」

誰もいない奥のほうヘシッカリ両手を合わせると、

「ねえ、ねえ、ごめんなさいほんとに」

心からまたもういっぺんこういって、そのまんまプーイと表へ。後をも見ずに逃げだしてしまった。

そのあと空しく薄暗い土間へ放りだされている石の狐の耳ひとつ。

……表はいつか数え日の暮れがたの暗い氷雨が音立ててさびしくふりだしていた。

その晩おそく石屋から火の玉のようになって談じ込まれた湯島の家では、圓太郎夫婦が平あやまりにあやまったのち、圓太郎がお座敷三つ分稼いだお銭を五、六日して先方へ届け、やっと勘弁して貰った。

「仕様がねえおたんこ茄子だ」

忌々しそうに圓太郎は呟いた。だからいっそのこと芸人にしちまえば……とつい口まで出かかってくるのを、危うく圓太郎は耐えていた。

あくる年の二月、今度は池の端仲町の山城屋という両替屋へ奉公にやられた。

いろいろさまざまのお金の山の中へ身を置かれて、お金の誘惑はプツリともなかったが、端なお鳥目の誘惑の方はしきりだった。