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ことり
小鳥
宮本 百合子
「明星」第6号、1922(大正11)年4月1日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,264 字 · 7 页
而も、まだまだ下に降り切ることが出来ず、躊躇し、躊躇して足を踏みかえている。ところへ、彼女の連れ合いが来た。やはり覚えていて下を見る。が、二度三度場所をかえて覗くと、勢をつけて、さっと餌壺の際に下り立った。そして、粟を散らしながらツウツウと短い暖味のある声で雌を呼び寄せるのである。
雌を驚かせて、気の毒には思うが、自分には、実に心深い見ものであった。こればかりでなく、新しく籠に入れられ、自分達の巣を定めようとする時にも、雌雄はその態度が異う。雌が、ふるくからいるものに驚かされて、やたらに籠中を逃げ廻ったり、そうかと思うと呑気そうに羽づくろいや身じまいなどをする間に、雄は、攻撃的に、動的に、自分等の住居を決めようとする。文鳥が始めて来た時などは、特にそれが著しく、自分は興深いことに思われた。
じゅうしまつは、いかにも家庭的に内気である。二羽ながら巣にこもり、白と薄茶色のまだらの頭をのぞかせて、おだやかに引立つこともなく暮して行く。
頭がつやつやと黒く、体は全体金茶色で、うす灰色の嘴と共に落付いて見えるきんぱらは、嘗て見苦しいほど物に動じたのを、私は見たことがない。