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しょうじょとろうへいし
少女と老兵士
小川 未明
「中央公論」1939(昭和14)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,697 字 · 10 页
砲兵隊とみえて、馬が、大砲や、いろいろのものを乗せた車を引いて、あとからも、あとからも、ガラガラとつづきました。兵隊さんの黄色な服は、いくところか、汗がにじみ出て黒くなっていました。けれど、くつ音をそろえてわき見もせず、顔を前に向けて進んでいました。
「通れなくて、困るわ。」
「しかたがないわ、兵隊さんですもの。」と、とも子ちゃんは、いいました。
ふと、とも子ちゃんは、頭を上げて、青い空をながめました。すると、なんだか急に悲しくなったのです。
「兄さんは、どうしていらっしゃるだろう?」
翌日の午後でありました。先生に引きつれられて、女の子の多い、幼稚園の生徒たちは、ぞろぞろと町の中を歩いていました。病院への途中であります。バイオリンを提げている子をのぞいて、ほかの子供たちは、なにかしら兵隊さんをなぐさめるためにあげようとするものを手に持っていました。白い服、青い服、白い帽子、水色の帽子、ようすはいろいろでありましたが、いずれも小さくてぴちぴちしていて、お人形の行列のように見られました。通り合わせるものは、だれでも、この無邪気な一人一人の顔をのぞき込むようにして、ほほえまぬものはなかったのでした。