轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうねんとうみ
少年と海
加能 作次郎
「赤い鳥」1920(大正9)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,808 字 · 10 页
為吉は奥の仏間へ駆けて行って、その褒状を出して来ました。厚い鳥の子紙に、墨色も濃く、難破船を救助したことは奇特の至りだという褒め言葉が書いてありました。そして終りに××県知事従五位勲四等△△△△と、その下に大きな四角な印を押してありました。
「それから後には、もう、そんなことはなかったかね?」と為吉は尋ねました。
「漁舟なんかお前、一年に二艘や三艘打ちあげられるけれど、あんなことはなかったよ。」
父親は、眼をつぶって、昔を思い出している様子でした。
二
それから間もなく為吉は再び浜へ下りて行きました。入江には小さな漁舟が五六艘、舷を接してつながれていました。かすかな浪が船腹をぴたぴたと言わせていました。夏の暑い日の午後で、丁度昼寝時だったので、浜には誰もおらず、死んだように静かでした。ただ日盛りの太陽が熱そうに岩の上に照りかえしているばかりでした。大分離れた向うの方の入江に子供が五六人海水浴をしていましたが、為吉が、ここに来ていることに気がつきませんでした。
為吉は暫く岸に立って沖を眺めていましたが、やがて一番左の端の自分の家の舟の纜を引っ張って飛び乗りました。