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しょうねんのひのひあい
少年の日の悲哀
小川 未明
「少年世界」1917(大正6)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,186 字 · 9 页
「君、その犬をつれていってはいけない。」
と、その中の一人が、三郎に向かっていいました。
「これは僕のかわいがっていたボンだよ。十日ばかり前に見えなくなったのだ。いま、見つけたから、つれて帰るんだよ。」
と、三郎は答えました。
「ああ、そんなら君のところの犬だったのかい。十日ばかり前に、牛乳屋がいい犬を拾ってきたといってくれたのだよ。そんなら、それは君の家のだかい……。」
といって、子供らは残念そうにして立っていました。中にも一人の子供はやはり泣いていました。
このようすを見ますと、三郎は子供らがかわいそうに思われました。あんなに犬を大事にしてかわいがってくれるなら、いっそのこと、この犬を子供らにあたえようかという考えが起こったのです。そして、ふたたび自分の家へつれて帰ると、隣のいじ悪いばあさんがまた犬をしかるばかりでなく、あの弱虫の子供の母親までが犬をいじめると思いました。いっそ犬を子供らにあたえたほうが、かえって犬のしあわせになるかもしれないと思いましたので、
「君らが犬をかわいがってくれるなら、この犬を君らにあげよう。」
と、三郎はいいました。
「ああ、僕らは、ほんとうにかわいがるから、どうかこの犬をおくれよ。