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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
暴風雨
雲は海をあっし海は雲をける。ぼうぼうたる南太平洋の大海原に、もう月もなければ星もない。たけりくるう嵐にもまれて黒暗々たる波濤のなかを、さながら木の葉のごとくはしりゆく小船がある。時は三月の初旬、日本はまだ寒いが、南半球は九月のごとくあたたかい。
船は一上一下、奈落の底にしずむかと思えばまた九天にゆりあげられる、嵐はますますふきつのり、雷鳴すさまじくとどろいていなづまは雲をつんざくごとに毒蛇の舌のごとくひらめく。この一閃々々の光の下に、必死となってかじをとりつつある、四人の少年の顔が見える。
みよしに近く立っているのは、日本の少年大和富士男である。そのつぎにあるは英国少年ゴルドンで、そのつぎは米国少年ドノバンで、最後に帆綱をにぎっているのは、黒人モコウである。
富士男は十五歳、ゴルドンは十六歳、ドノバンは十五歳、モコウは十四歳である。
とつぜん大きな波は、黒雲をかすめて百千の猛獣の群れのごとく、おしよせてきた。
「きたぞ、気をつけい」
富士男はさけんだ。
「さあこい、なんでもこい」
とゴルドンは身がまえた。同時に百トンの二本マストのヨットは、さかしまにあおりたてられた。