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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
死体は十数メートル先にほの白く光っていた。みだれた髪が白蝋の顔にへびのようにくっついている。ぞっと戦慄が身内を走った。「ワッ!」と悲鳴をあげたウエップが、とつぜんかけだした。浮き足だった三人もつづいてかけだした。ぶなの林のなかに逃げこんで、一同はホッと息をついた。嵐はいつやむ気配もない。夜のやみにゴウゴウと林の鳴る音がものすごい、烈風にまきあおられた砂が、小石を混じてつぶてのように顔をうつ。一同は生きた心地もない。
「みんな手をにぎろう」
とドノバンがいった。一同はかたく手と手をにぎりあった。
雨がようやく小降りになった。東の空にあかつきの色が動きそめた。恐怖の夜が、明けようとしている。
「助かったぞ」
とドノバンが立ちあがった。一同は未明の微光のなかに思わず顔を見あわせた。
「だがぼくらは人間の務めをおこたった」
ドノバンがかなしそうにいった。
「ぼくらは自分のことばかり考えた、ぼくらは助かることができたが、あの死体はどうなったろうか」
一同は頭をたれた。はたしてあの死体はこときれていたのだろうか、あるいはなお一るの気息が通っていたのではなかろうか、自分らはそれをたしかめもせず、ただおそろしさのために、人間の本分をおこたった、慚愧の念が心をかんだ。