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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
ものすごいうなりをあげてとらは、どっと地ひびきたててたおれた。
富士男はホッと息をついた。とらのためにひっかかれたと見え、左かたの服はずたずたにさけて、鮮血がこんこんと流れだしている。
「富士男君! これを!」
とドノバンがシャツの袖をちぎって、くるくるとゆわえた。見る見る鮮血は仮ほうたいをまっかに染めた。ドノバンはじっとそれをみつめた。
つねに命令にそむき、侮辱し、反対の行動をとった自分である。それをいま、富士男は一身の危険をおかして一命を救ってくれた。こう思うとドノバンは、心の奥底からつきあげてくる悔恨の情にせめられた。
「富士男君! ぼくをゆるしてくれたまえ、ぼくはなんといって感謝していいかわからない!」
ドノバンはボロボロと涙をこぼした。
「なんでもないよ、ドノバン君、きみだってぼくの地位に立ったら、ぼくを救ってくれたにちがいない、そんなことはどうでもいいじゃないか、おたがいのことだよ、それよりぼくらは、早くここを去らねばならない」
「どうして?」
とイルコックがいった。
「道々、話すよ、さあゆこう」
と富士男が四人をせきたてた。
かれはことば短かに、海蛇らの凶悪無慚を語った。