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しょうねんれんめい

少年連盟

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页

青空文庫

サクラ号がゆくえ知れなくなったとき、一行の父兄たちは、死に物ぐるいになって捜索をはじめたが、なんの手がかりもえなかった。一ヵ月後にサクラ号としるした船尾の板が、ある海岸に漂着したので、父兄たちはもう捜索の絶望を感じた。

市の人々は、涙ながらに少年たちの追善をやっているとき、富士男はサクラ号のふなばたに立って、きっと泡だつ怒濤をみつめていた。

平和な海面なら、綱を持って対岸まで泳ぎつくことは、至難でない、だが嵐のあとの海は、まだ獰悪である。幾千とも知れぬ大岩小岩につきあたる波は、十丈の高さまでおどりあがっては、瀑のごとく落下し、すさまじい白い泡と音響をたてて、くだけてはちり、ちってはよせる。

おそろしい怒濤の力! もしそれにひかれて岩角にたたきつけられたら、富士男のからだはこっぱみじんになる。

「兄さん、いっちゃいけない」

と次郎は兄のそばへ走ってさけんだ。

「いいよ、心配すな、次郎!」

富士男はわざと微笑をむけて、弟の頭をなでた。

「だいじょうぶかえ」

とゴルドンはいった。

「やるよりしようがない、これが最善の道だと考えた以上は、死んでもやらなきゃならない」