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やまぶきちょうのさつじん
山吹町の殺人
平林 初之輔
「新青年」1927(昭和2)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,530 字 · 37 页
所轄××署よりは、直(ただ)ちに数名の警官出張し、警視庁はただちに管下に非常線を張りて犯人厳探中である。臨検の警官は既に有力な証拠品をつかんだらしく、深夜にも拘らず×××署を捜査本部としてある方面に活動を開始した模様であるから、本日中には犯人は逮捕される見込である」
「被害者の屍体を発見した隣家の老婆は語る――光子さんの家では十一時にもなるのに、玄関の戸も居間の襖も開けっぱなしになっているので、あんまり不(ぶ)用心だと思ってのぞいて見ますと、光子さんが布団を着てやすんでおられる様子でしたから、二度ばかり呼んで見ましたが返事がないので上(あが)って見るとあの始末なのです。妾(わたし)は腰を抜かしてしまってしばらくは言葉も出ませんでした。」
「被害者の身許(みもと)は不明であるが、近隣の人々の話を総合したところでは、本年四月まで浅草雷門前のカフェ大正軒に女給をしていたということである」
「記者は逸(いち)早く大正軒を訪(と)い生前被害者を知っていたという女給百合子(ゆりこ)についてただすと、百合子は『まあ光子さんが人手にかかって?』とおどろきながら語った。