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やまもとゆうぞうしのきょうち
山本有三氏の境地
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,155 字 · 32 页
公荘夫婦は、允男のかえりがおそくでもあると「まさかそんなことはないと思うけれど」「一つの流行だからな」と息子が赤になることを警戒し、息子の書斎をしらべたりする。ハイネの「アッタ・トロル」を「読んでいるようだと、よほど注意しなくちゃいけませんね」「もちろんだ、うっちゃっておいたらそれこそ大変だ。」こういう警戒にもかかわらず、「己は赤の方の心配さえなければ外に心配はないよ」と云う将にその心配が落ちかかって来て、息子はつかまる。允子は警察で息子に会い、父親の地位の危くなることや息子の親友の一人の名を発表したりして、允男を泣き落そうとする。
釈放されて来た允男は允子にゴーリキイの「母」などを読まそうとするのであるが、允子の考えは、允子は「生活や教養が違っているから」「息子をとっつらまえる方が間違っているんだと、そう単純には思いこめず」パーウェルの母とは逆に「向になっている息子をしずめることこそ、現在のような事情の下にあってはむしろ母親のつとめだ」という考えを固執している。
允男は遂に家を出てしまった。公荘は悲歎の裡に死ぬ。允子は不安の絶えないその後の生活の或る日映画の「丘を越えて」