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さんけいにいくるひとびと

山谿に生くる人々

葉山 嘉樹

――生きる為に――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 页

青空文庫

「馬鹿野郎! 気をつけやがれっ」

と、顔色を蒼白くして、怒鳴るのだった。

大山は、ハッパの蓋をするような役目に廻っていた。

最初は路傍に捨てられてあった、古畳を拾って来て、導火線がシューッと音を立てて、燃え始めると、穴の上に畳を立てかけて逃げるのだった。

だが、穴が三本も四本もくられると、一人では間に合わなかった。

緩燃導火線であるし、いきなり爆発するものでない、という事を、百も承知していても、一間位隣りで、灰白色の煙を勢よく吹いている、ハッパ穴の前では、そんなにのんびり仕事をしてる訳に行くものではなかった。

四本位の時は二人で火をつけて、それから古畳を立てかけて、ベルを振りながら、

「ハッパだあ、ハッパだあ」

と怒鳴りながら、山の斜面を木の枝や根っこに掴まりながら逃げて行くのだ。そして、もう大丈夫と思われる辺で、樹の幹を盾にとって、煙を吐いている、ハッパの穴の辺を、ベルを急調子に振りながら、見詰めるのであった。

それは一日に五回かける時でも、その各々の時に、心の引き緊まるのを覚えた。

ドーン、ドドーン、バーン

と天龍の川を挟む両岸の絶壁に木魂して古畳を突き倒し、穴を明け、時には四五間も空へ押し上げるのだった。