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さんけいにいくるひとびと

山谿に生くる人々

葉山 嘉樹

――生きる為に――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 页

青空文庫

古畳はすぐに役に立たなくなった。しかし、この山間では、古畳の補給は至難であった。で、古畳の代りに粗朶を針金で編んだ。樫の木の葉のついたままのを、かっきり畳一枚敷位の広さに編んだ。そして、切り取り面に水平に下から六七間の高さに、十番線(太い針金)を張り、それに五六間の長さで移動できるように、同じく針金を下げた。

そうしておけば、一々ハッパ押えを、断崖の下まで吹き飛ばされないで済むし、ハッパ穴が五六尺の高い段の上に穿られても、上からハッパ押えを吊るしておけるのだった。

それは困難な作業だった。編粗朶が相当に重いのと、それを穴の上にうまい具合に蓋をするのには手間が取れた。が、ゆっくり手間を取ってる訳にはいかない性質の作業であった。

が、編粗朶にしても、一二度やる中には、穴に直接当るところは、樫の枝がザクザクに折れて取れて終うのだった。

その切り取り面に、六七本の穴が仕上がり、一々押えをして、点火して、ベルを振りながら、見るのは面白い。一度などは、張り渡してある針金が一本であるため、ドーン、ドーンと鳴って、狂った馬が後脚を蹴上げるように、押えを撥ね上げ、撥ね上げするうち、最後の一本の穴の押えが、「確かに少しずった」