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さんけいにいくるひとびと

山谿に生くる人々

葉山 嘉樹

――生きる為に――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 页

青空文庫

林田がその手前の電柱の辺まで、駆けて行った時、小林のバラックから、小林自身が通路へ上がって来た。

「今日は」

と、林田が立ち止って小林に挨拶した。

「どうしたい」

「堰堤の方で今働いています。たった今、玉石が抜けて、下にいた仲間を放水路ん中に叩っこんじまったんです。一人は渦で巻きかえされて、上げましたが、も一人の方が流れちゃったんで、今、探しに行くとこなんです」

そこへ大山も追いついて、話を聞いた。

「一人でに抜けたんかい。あそこは随分高いじゃないか」

「いや、危いから抜こうとして、大分骨を折ったけど、どうしても抜けなかったんですよ。そこへ、下の方に足場を作らなきゃならなかったんで、二人やって来たんですよ。『ちょっと待て、この玉石を抜いてからにしてくれ』ってんで、二人がかりでやってみたが、どうしても抜けないんです。こんなにまでして、抜けなきゃ落ちっこないってので、『いいからやれ、大丈夫だ』と言うので足場にかかったんです。ところが、どうした弾みだか、その玉石が抜けたんですよ。

『おうい、行くぞ、どけ、どけ』

って上から怒鳴った時は、もう上の方にいた者の腰に、ぶっつかりましてね。