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やまみち

山道

中里 介山

「改造」1926(大正15)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,368 字 · 15 页

青空文庫

学生のうちの一人、特に思入れがあって七分の感歎に三分の余情を加える。

「大変とは、どういう意味に……」

とBなる青年が振り返る。

「いけない、もう一度、君はあの歌を読み返して見なくちゃ――とにかく、あの歌が大変なものだということだけを頭に置いて、もう一ぺん読み返して見給え」

路は小流をいくつも越えて雑木林に入る。

「あの小説の著者は、あれで多少は科学の何者、芸術の何者であるかを知っているでしょうか」

「戯作、つまり昔の草双紙――草双紙に何があるものですか、ただその時、その時を面白がらせて、つないで行けばいいだけの代物です、その技術に於てはあの著者も多少の手腕を持っているようですが、その他の事は問題になりませんよ」

「いや、それは酷だ、君はまだあの作物を通読していないか、そうでなければ読んでいながら理解するだけの頭がないのか、そうでなければ相当にわかっていながらわざと誣うるものだ」

ここで一行が意外にも、かりそめの論評の火花を散らす。

その時、最初の馬上の旅人が軽く仲裁の任に当りました。

「実は、僕もあの小説の著者を知っているのですが、あれはわからずやの一種の変人で、決して諸君の問題になるような代物ではありません……今おっしゃる通りの芸術家でも何でもない、いわば戯作者で当人も大凡下々の戯作者と称して喜んでいるような始末