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みんざんのいんし

岷山の隠士

国枝 史郎

「大衆文芸」1926(大正15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,095 字 · 19 页

青空文庫

「ふうん、大変むずかしいんだな。俺にはそんなようには思われないよ。色が蒼くて真丸で、その端が地の上へ垂れ下っている。こんなようにしか思われないがな」

これには李白もギャフンと参った。

「地についてはどう思うな?」

これは浮雲いと思いながらも、真面目に答えざるを得なかった。

「地は万物の母であって、人畜魚虫山川草木、これに産れこれに死し、王者の最も尊敬するもの、冬至の日をもって方沢に祭ると、こう書物で読みましたが」

「お前の云うことはむずかしいなあ。俺にはそんなようには見えないよ。変な色の、変に凸凹した、穢ならしいものにしか見えないがね」

これにも李白は一言もなかった。

「お前は人の性をどう思うね?」

「はい、孔子に由る時は、『人之性直。罔之生也。幸而免』こうあったように思われます。しかし孟子は性善を唱え、荀子は性悪を唱えました。だが告子は性可能説を唱え、又楊雄、韓兪等は、混合説を唱えましたそうで」

「だがそいつは他人の説で、お前の説ではないじゃアないか」

「あっ、さようでございましたね」

「で、お前はどう思うのだ?」

「さあ、私には解りません」

「解るように考えるがいい」