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しまもり

島守

中 勘助

「犬 附島守」岩波書店、1924(大正13)年5月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,146 字 · 37 页

青空文庫

夢。まっ暗な寒い杉の森のなかで北浦のほうを眺めて鴛鴦や鴨のくるのをまっている。やがて一羽の鴨が西のほうからさっとおろしてきて水につき入った。つづいて五羽も七羽もきてふくらんだ胸のへんにささ波をたてて矢のように進む。頸すじの真紅なのや、鶸色なのや、見たこともない綺麗な鴨のなかに白鳥もまじっていた。

七日

夕。一の鳥居へ石段をおりるときふと柴栗の落ちてるのをみて 栗がなったな と思って上を見た。高い枝に雫のたれそうな三つ栗がめっきりとえみわれている。胸を躍らせ枯枝を拾って投げつけるうち手心をおぼえてうまくうちあてた。大きないががぽかりともげてばらばらとこぼれるのをとんでいって草のなかを捜してるとき落ちてきた枯れ毬にいやというほど頭を打たれ なるほど と昔の智慧を思いだして羽織を頭からすっぽりかぶる。かた手に一杯ほどの栗を袂に入れてきて机の上にあけてみたら虫の粉が美しくちらばった。

焼山には雪がきたという。

八日

本陣が蛇のきもと蕎麦粉の饅頭をもってきてくれた。栗の話をしたら 島の西に大きな栗の木がある というので宮の後ろの崖をあとについておりてゆく。