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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
「警官も鉄道の連中も、要領がいいぞオ」
そんな声も聞えます。
「あまりに乱暴じゃないですか。東京方面へ列車が出ませんよ」
と抗議しているのはどうやら兄らしいです。
「いや仕方が無い。報告の内容から推して考えると、ああするより外に道はないのです。むしろ思い切って決行したところを褒めてやって下さい。なにしろ化物は完全に隧道の中に生き埋めだ」
「隧道の向うが開いているでしょう」
「なに鴨の宮の方の入口も、あれと同時に爆発して完全に閉じてしまったのです。化け物は袋の鼠です。もうなかなか出られやしません」と白木警部は一人で感心していました。
後で詳しく聞いた話ですけれど、二人の怪人の戦慄すべき暴行について、小田原署の署長さんは一世一代の智慧をふりしぼって、あの非常手段をやっつけたのでした。その儘放って置けば、あの怪人や化物は何をするか判らないのです。お終いには東京の方へ飛んでいって空襲よりもなお恐ろしい惨禍を撒きちらすかも知れません。そんなことがあっては一大事です。署長さんは、あの怪人の背後に、例の化物団が居ると見て、これを釣り出すために機関車隊を編成させ、力較べをさせたのです。