轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じゅんさじしょく

巡査辞職

夢野 久作

「新青年」1935(昭和10)年11~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,907 字 · 63 页

青空文庫

のみならず所謂、白痴美というのであろう。その底無しの無邪気な、神々しいほどの美しさが、誰の目にもたまらない魅力を感じさせたので、さもなくとも悪戯好きな村の若い者は皆申合わせたように「マユミ狩」と称して、夜となく昼となく深良屋敷の周囲をウロ附いたものであった。マユミの白痴をいい事にして入れ代り立代り、間がな隙がな引っぱり出しに来るので、そのために両親の老夫婦は又、夜の眼も寝ない位に苦労をして追払わなければならなかった。

しかしその中にタッタ一人、このマユミにチョッカイを出しに来ない青年が居た。それはこの谷郷村の区長、乙束仙六という五十男の次男坊であった。村では珍らしく中学校まで卒業した、一知という男で、村の青年は皆、学者学者と綽名を呼んで別扱いにしている今年二十三歳の変り者であった。

ちょうどその頃、一知の父親の乙束仙六は、養蚕の失敗に引続く信用組合の公金拐帯の尻を引受けて四苦八苦の状態に陥り、東京で近衛の中尉を勤めている長男の仙七の血の出るような貯金までも使い込んでいる有様で、心労の結果ヒドイ腎臓病と神経衰弱に陥って寝てばかりいる状態は、他所の見る目も気の毒な位であったが、しかし次男坊の一知は、そんな事を夢にも気付かないらしく、自分勝手の呑気な道楽仕事にばかり熱中していた。