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じゅんさじしょく
巡査辞職
夢野 久作
「新青年」1935(昭和10)年11~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,907 字 · 63 页
「フーム、田舎者としては立派すぎる返事ですなあ。すこし頭が良過ぎるようじゃが……」
「あの青年はこの村でも有数のインテリだそうです」
「そうらしいですな。殊にあの養子はこの村でも一番の堅造という話ですな」
「草川巡査もそう云うておりました。あの別嬪の嬶も好人物過ぎる位、好人物という話です」
「ウム。あの若い夫婦は大丈夫じゃろう。実父の区長のためになる事でなければ、そう急いて老夫婦を殺す必要も無い筈じゃから……しかし通りかかりのルンペンにしては遣り口が鮮やか過ぎるようじゃなあ」
「……今度の兇行の動機は怨恨関係じゃないでしょうか。金品を奪ったのは一種の胡麻化手段じゃないですかな」
「……というと……」
「マユミの縁組問題です……ずいぶん美人のようですからね」
「それも考えられるな。今の一知という青年と同年輩で、マユミに縁組を申込んで、老人夫婦に断られた者は居らんかな」
「十分に調べさせてみましょう」
「何にしても問題は兇器だ。アッ……草川君が帰って来た。また恐ろしく大勢連れて来たな。ハハハ……中々気が利いている」
「ナアニ。この村は青年が一致しているのでしょう」
青年団の兇器捜索は間もなく開始された。